記念式典は、RBパークセンタービルで午後3時から開催。恵庭市中島市長、北海道嵐田副知事、経済産業省山本道経済産業局長ほかおよそ130人が出席して行われました。冒頭、湊孝康RBP社長から「あいさつ」があり、会社設立の由来や「バブル崩壊」で直撃を受けた土地処分の労苦と、見事にそれを成し遂げ、「奇跡の逆転」といわれた経緯が生々しく述べられました。「ポスト20年」のRBパークの基本戦略は、①本業に徹すること、②広い意味の「社会貢献」、の二つと提起。「本業とは、リサーチ・コア(研究開発支援)事業とそれを支える恵庭市からの受託事業をしっかりやり遂げることであり、社会貢献とは、税金を払い、雇用を増やすこと」と明言されました。最後は、「最大の目標は、RBPの周辺を、バイオ系研究開発の一大集積地に発展させること」と結びました。
この後、中島市長など前記の3氏から「お祝いのあいさつ」があり、「来賓の紹介」、「祝電・メッセージの披露」がありました。式典は、この辺からクライマックスとなり、「RBPビジネス大 賞」、「感謝状」の授賞、「小学生のための理科実験教室」参加作文コンテストの表彰があり、午後4時過ぎに式典は終わりました。

午後4時過ぎからは、北大経済学部教授濱田 康行先生による記念講演が行われました。テーマは、「金融激動と地方経済」について、平易に解説。米国の「サブプライム」に端を発した金融の破綻、株式市場の暴落、世界経済の危機、国内への影響など「お寿司」の「ネタの組み合わせ」と「値段付け」を比喩(ひゆ)的にとりあげ、「金融商品の合成」を巧みに仕上げてゆく過程を説明してくれました。結論は、「実体経済(ものづくり)が重要であり、研究開発を支援するRBPの役割は、一段と高まる」とお話されました。

午後5時半から、ノーステック財団の常俊副理事長の乾杯で始まり、交流パーテイに入り、歓談が深まりました。本会は、午後6時半つくば研究支援センター萩谷常務の一本締めにより閉会となりました。

授賞された方々

◎RBPビジネス大賞
北日本化学株式会社  日生バイオ株式会社
◎感謝状
島田武雄さん(異業種交流会顧問)  鈴木紘次さん(RBP交流会会長)
佐山さつきさん(異業種交流会幹事)
◎理科実験教室作文コンテスト
深川陸、藤根桃子、千葉栞、山脇幹子、斉藤成哉のみなさん

「RBP創業20周年記念式典」社長あいさつ

本日、弊社の「創業20周年記念式典」の開催に当り、このように大勢のご来賓、関係者の皆様のご列席を賜ったことに、心から御礼申し上げます。
先ずは、恵庭RBパーク(株)が、この20年間厳しい局面もございましたが、何とか、元気に今日を迎えられたことは、ひとえに、皆様のご支援のおかげであり、厚く感謝申し上げる次第です。
さて、弊社は、恵庭市の「恵庭ハイコンプレックス・シテイ構想」の担い手として、昭和63年4月に「第3セクター」として設立され、平成元年4月より創業となりました。これらの背景には、国の「民活法」や「道央テクノポリス構想」などが関わってきますが、弊社は、「道央圏」における新たな産業創造の拠点(プラットホーム)として位置づけられ、期待が寄せられました。具体的には、バイオテクノロジーなどの研究開発支援を中心に、地元のベンチャー・中小企業家と大学・公設研究所などとの連携による新商品の開発・新事業の創出、人材・技術研修、交流・展示事業などに一体的に取組み、多くの成果を残しております。

一方で、弊社は、設立当初から「地域開発」という機能を有し、研究開発用地や住宅地などの分譲を手がけておりました。これが、「バブル崩壊」の直撃を受けることになりました。その結果、大きな欠損を生み、以後の経営を圧迫しました。この間、株主、金融機関など関係者には、大変なご心配をおかけしましたが、役・職員の必死の努力により、「奇跡の逆転」を成し遂げることができました。大方の人は、平成13年という冷え切った時期に、売れ残った大量の土地が、「売れるはずはない」、と実感したことでしょう。しかし、「素人集団」である私たちは、1年間でこれを完売し、残る借入金を完済できました。私たちは、「未知の挑戦」に打ち勝つことができ、ほかの誰にも負担をかけず、難問を自主解決することができました。「勝運」にも恵まれていたと思います。後に、ミサワホーム恵庭支店長から、まさに「ラストチャンス」であったことを知らされ、背筋が凍る思いをしました。
社内には、明るい空気がよみがえり、将来への確信が持てるように変化しました。本業の、「リサーチ・コア事業」にも、10年ぶりに復活できました。
「歴史」とは、振り返るためにあるわけではない。「未来の発展への力」と痛感しました。

わたしは、ここで得た貴重な体験を教訓とし、「ポスト20年」の事業戦略を推進していきます。基本的には、「本業重視」の業務運営と広い意味の「社会貢献」の二つです。
「本業重視」に関しては、リサーチ・コア事業に徹し、余計なことはしないという意味です。同時に、経営基盤を支える恵庭市からの受託業務をしっかり遂行(すいこう)するということです。
現在、中小機構の支援を得て「食と健康の地域連携研究会」を設置し、3年後には、「農商工連携」による新たな健康食品の開発と事業化を実現するために、本格的な研究開発に向けての準備を進めているところです。事業の推進に当っては、「地元連携」はもちろん、経済産業省の「地域イノベーション創出研究開発事業」や北海道の「科学技術振興戦略」などとの「政策連携」を図ることが重要である、と思っております。
恵庭市からの受託業務も、サービスとコスト改善を最大の課題とし、「経営基盤」を確実なものとしていく所存です。
「社会貢献」については、直接的には、「納税」と「雇用面」での実績を上げていくことです。弊社は、この20年間で、およそ6億円の税金を納めました。うち、恵庭市には、4億3000万円、北海道には、5千万円の税金を納付しております。
雇用に関しては、ピークで85人、年平均で46人です。質的な面では、恵庭市からの委託事業であります、公共施設やパークゴルフなどの雇用に当って、自衛隊退職者や元気であれば、60歳以上の高齢者を積極的に採用するなど地域の実情を十分に加味して実施しております。
この他、この20年間でのRBパーク自体の建設投資、人件費・物品購入費、恵み野北エリア(4,855世帯、12,525人)の住宅地分譲と住人の納税・生活支出などを加味すれば概算で約100億円に近い「経済効果」(シナジー効果)として算定されます。
私は、このように、事業の遂行には、「結果を重視すること」、「成果を数量化し評価すること」が絶対に必要と考えています。弊社は、平成16年度から恵庭市の水道料金収納事業を受託しております。その結果、経費の削減率では、受託前を100%とすれば、3年後には、78,3%に激減しております。収納率では、受託前が上水道で96,5%,下水道で96,6%であったものが、3年後には、それぞれ、97,3%,98,4%と大幅な改善になっております。

さて、率直に言って、ビジネス・インキュベーターを取り巻く環境は、大変厳しい状況にあります。根拠法である「民活法」の廃止、「外形標準課税」の導入、大学・公設の同種インキュベーターの増設などが経営の悪化を加速しております。さらに、問題は、各リサーチ・コアと関係の道府県、市との関わり上の変化です。地方自治体の財政悪化は極めて厳しく、従来の関係がそのまま維持されるとは限りません。それが、どこで折り合うかという調整が大事になっております。しかし、「他人のことに構っている余裕はない」というのが、行政側の現実です。本日、全国リサーチ・コア連絡協議会の仲間である、KSP(川崎市)、つくば研究支援センター(つくば市)、サイエン・スクリエイト(豊橋市)の代表も参加していただいておりますが、共通の課題として、綿密に情報交換しているところです。
この問題は、今後のリサーチ・パークの将来にとって、大きな課題です。私は、「3つの基本スタンス」の下に、これからのビジネス・プラン、アクション・プランを実践していきます。
第1に、リサーチ・パーク側が、「自主自立の方針」を堅持し、実績を残した上で、自治体に対する「リーズナブルな支援要請」、「互恵の連携」を求めていくことが大事になると考えます。 第2は、今後のリサーチ・パークは、「存在すること」に意義はないということです。「地域にとってなくてはならない存在」になることが、生き残りの条件になります。そのためには、先に述べた、地域連携による新商品の開発、新事業の創出を積極的にコーデネートしていくことが必要になります。つまり、単なる「ワーキング」(力仕事)だけではなく、洗練された「知的サービス」の提供が要件になります。
第3は、弊社の生みの親は、恵庭市です。両者は、今後とも「二人三脚」で連携し、結果を出してゆくことが、将来共に大事です。公共施設の管理は、ほとんどが「指定管理者制度」に移行されました。つまり、「随意契約」から「競争入札制」に改正されました。
これは、RBパークにとっては、大変厳しい試練であります。しかし、私たちにとっては、20年の「ノウハウの蓄積」があります。これは、経済学的な「比較優位」でもあり、「貴重な財産」でもあります。よく考えて見ますと、恵庭市や恵庭市民との貴重な「共有財産」でもあるわけです。
私たちは、これまで以上に恵庭市及び北海道、北海道経済産業局とのパイプを太くし、緊密な関係を維持し、効果を発揮していきたいと望んでおります。幸いにして、RBパークのインキュベータ並びにその周辺には、北日本化学、日生バイオ、植物情報物質研究センター、北海道バイオ・インダストリー、生野製作所、エコニクス、新薬開発研究所など数多くの「バイオベンチャー」が集積し、最近では、ワクチンの「北里研究所生物製剤研究所」が入居し、一段と研究ゾーンの厚さを増しています。道立食品加工研究センターや産業技術総合研究所北海道センター、道央産業技術機構なども近隣の範囲であり、私は、これらの力を借りて、恵庭の特質である先進農業や食品加工業との連携を図りつつ、「食と健康」、「花と暮らしと環境」をテーマに、新商品・新事業創出をミッション(使命)とする一大集積地を形成していきたい。その夢を一つ一つ着実に進めていくのが、「ポスト20周年」の最大の重要な課題であります。
「創業20周年記念」のあいさつに当り、「ポスト20年」の基本的なRBパークの方向性をお話させていただきました。皆様には、一層のご協力、ご鞭撻をお願い申し上げます。末尾となりましたが、参加された皆様の変わらぬご健勝並びにそれぞれの所属される機関のますますのご発展をご祈念申し上げ、ご挨拶といたします。本日は、まことにありがとうございました。