北海道バイオ工業会事業企画運営委員3名は、10月25、26日、機能性食品・医薬品の評価システム構築のあり方に関する情報収集を目的として、北海道経済連合会内「バイオ専門委員会(食分野)」が主催する「三重大学、徳島大学病院の視察」に参加しました。

第1日目は三重大学の株式会社機能性食品研究所と会合を持った。同研究所は創造開発研究センター、生命科学研究支援センターとともに学内のキャンパスインキュベータ内にあり、主として機能性食品・化粧品の評価試験およびヒト臨床試験を受託している。ヒト試験を開始するまでの試験計画の立案、倫理委員会の申請、被験者の募集・管理、データの集計、解析のノウハウを業務に反映させている。次いで、創造開発研究センター内で繁殖・飼育による動物試験評価用ゼブラフィッシュの供給事業を展開している、バイオ専門委員会の副委員長の西村訓弘教授に案内いただき、病態フィッシュや計測評価技術の開発の進展状況を知ることができた。当日の最後に、「みえ治験医療ネット」事務所を訪問、同教授に説明いただいた。同ネットは約100の県内基幹病院などで構成され、県医師会、病院協会、看護協会によって出資、設立された。西川政勝先生をチーフとした薬剤師1名、看護師3名がスタッフとして業務に当たっている。年間実績は医薬品80件、食品5~10件である。国際共同治験も積極的に進めており、今年度は8件を実施している。このネット構築には、旧来から三重大学医学部を中心としたMie Medical Complexとして取り組んで結束してきた歴史的な背景が伺われる。

第2日目は徳島大学病院の「臨床研究管理センター」を訪問した。同センターには専任治験コーディネータとして看護師4名、薬剤師2名、管理栄養士1名が配置されている。
楊河副センター長には視察の受け入れのみならず、香川病院長との面談の場を設定していただいた。徳島大学は、全国で唯一医学部に栄養学科を擁し、ここで得られた基礎研究成果を臨床試験で評価したいとの要望が学内連携につながり、機能性食品の臨床試験が開始された経緯がある。病院として、地域の深刻な生活習慣病に対して積極的な介入を行っている。治験を必要としている企業からの臨床試験の委託数を増し、臨床試験実施の好循環づくりを進め、対費用効果を高めることを目標としている。同病院における臨床試験推進は病院長によるトップダウンの最優先事項であり、治験実施を推進した医師に対して単年度ごとに「治験貢献賞」をもって表彰している。受賞した医師達が表彰状を手にし、院長を中心に撮られた写真がポスターとなって院内に掲示されている光景は大変印象的であった。
さらに、同ポスター中には各受賞者がコメントを載せており、同センターと治験コーディネータのサポートが円滑な実施に寄与してきた経緯が明記されていた。同病院の、全国の拠点病院となるべく地域住民と連携して医療に取り組む姿勢、ならびに病院内での強固な臨床試験実施体制を構築している現状を目の当たりにし、今後の北海道バイオ産業発展を担う臨床評価システムづくりに対して重要な情報を得ることができた。