11月15日、京王プラザホテル札幌において、経営者・知財担当者等向けのバイオセミナーが開催された。本セミナーは「バイオ成功企業に学ぶ知的財産戦略」と題し、係争を勝ち抜くことができた知的財産戦略や、経営の危機を救った知的財産権について、判例紹介を含めた当事者からの講演が行われた。

講演1は「係争から勝ち得た知的財産戦略」と題し知的財産権保護や知的財産権戦略の重要性について2演者によってなされた。最初に株式会社アミノアップ化学が被告となった訴訟を担当した弁護士八幡義博氏によって、特許の取得目的と独占実施権、ならびにその侵害の判断基準について解説がなされた。当該訴訟は被告に対して製造販売差止と、損害賠償を請求した内容であったが、被告の製品は原告特許の構成要件を充足しない理由に基づき、勝訴判決の結果となった。係争においては、分析評価は第三者機関に依頼して得ること、相手側の製品パンフレットや広報記事は証拠能力が弱く逆に誤認されないような表示に努めることなどが示された。次いで、北海道バイオ工業会会長である株式会社アミノアップ化学代表取締役小砂憲一氏から、会社にとって知財の戦略と重要性、社内体制について講演された。知財戦略すなわち経営戦略であり、メーカーにとって商品と知財は生命線であること、自社製品のすべてにおいて国外24件、海外11件を出願しており、商標登録においても国内69件、国外103件に及ぶことが紹介された。本訴訟を経験した上で、特許取得に先行した文献調査、自社・共同研究におけるデータの信頼性と再現性が重要であり、特許取得の目的を明確にするなど、実際的な自社知財構築手法が示された。

講演2は「雪印乳業の危機を救った知的財産権」と題し、雪印乳業株式会社専務取締役の川成眞美氏によって以下のような解説がなされた。新生雪印乳業株式会社は2005年にチーズ・バター・マーガリンを中心とした乳製品の専門会社としてスターとした。業態は2003年3月期の市乳が50%を占めたのに対し、2007年同期ではチーズが40%へと変化した。この業態変化に応じて研究開発部門の分散・縮小をすることなく、チーズ製品づくりの技術と機能性開発の重点化に努めた。2005年には知財戦略室を設置、事業戦略を核とした経営・知的財産・技術戦略の連携体制をとった。出願内容を高める仕組みとして、知財部門が出願可能性、登録性の吟味から出願手続きまでを管理、更には出願後にも特許検討会において評価を継続する体制を採っている。チーズにおける特許の分野分布の比較では、当社はナチュラルチーズに集中的に特化して他社との差別化を図っている。社内においては、報奨制度を設け、出願奨励金、登録報奨金、更には特許が使用された製品の営業利益に応じた実績賞金を各発明者の寄与率に応じて配分、インセンティブを促している。この7年間を振り返ると、会社の再建を支えたのは創業以来の確固たる技術、それを支えた人材、そしてその技術を権利化して守ってきた知財であると極言できる。今後も技術を戦略的に権利化して知財とする活用する方針は変わらない。